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まちおしAWARD at 伊勢崎 ブラッシュアップ作品 杜澤こさゆさん

「いせさきと猫物語」未来へ紡ぐいせさきねこまるの地域猫活動

・「いせさきと猫物語」未来へ紡ぐいせさきねこまるの地域猫活動
扉を開けると、猫が2匹寄ってきた。知らない人が入ってきたと匂いを嗅ぎ、体をこすりつける。柔らかい毛並をなでながら顔を上げると、ケージの中にいるキジトラ猫がじっとこちらを見つめていた。
ここは、伊勢崎市にある「いせさきねこまる」のシェルター。身寄りのない猫たちを保護し、新しい未来を紡ぐ活動の拠点だ。
野良でも飼い猫でもなく「地域猫」とは何か。会長の中山真理子さん(60)にお話を伺った。
・飼い主のいない猫を減らすために。「地域猫」とは
「地域猫」とは、飼い主のいない猫にTNRM(捕獲・不妊去勢手術・元の場所に戻す・見守り)を行い、地域住民と共生を図る取り組みのことだ。目印は、耳先を桜の花びらのようにV字にカットする「さくら猫」。
2022年6月に結成されたいせさき地域ねこ連絡会ねこまる(通称いせさきねこまる)は、2025年2月、正式にNPO法人となり活動を広げている。中山さんによると、2024年にいせさきねこまるが保護した猫は46匹で、33匹を譲渡した。
「問い合わせが来てもすべての猫を保護できず、断らせていただいているんです。でも、譲渡にこぎつけた猫が幸せになっている姿を見ると、嬉しいですね」
譲渡先から、月1回や年1回ほど猫の写真が来ることもあるのだと、中山さんは笑顔をこぼす。
・地域猫活動の現場から
寄せられる相談の多くは、野良猫が産んだ子猫や多頭飼育の問い合わせだ。県内のボランティア団体と協力しているものの、増え続ける手術の需要に追いついていない。
「相談があった際は、市が参加しているさくら猫事業の無料チケットを紹介しています」
子猫に限らず、親猫やオス猫も不妊去勢手術が必要だ。
「発情は猫にとって、とてもストレスなんですね。メス猫は何年も家の中で鳴いて発情していると、子宮の病気になることもあります」
保護中の三毛猫は、当初鳴きっぱなしで子宮に水が溜まっていたそうだ。
・伊勢崎市と猫の歴史
伊勢崎市は養蚕が盛んだった土地である。繭を襲うネズミ対策に猫たちは頼りにされ、地域で見守られていた。しかし今、飼い主のいない猫による被害が地域課題となっている。
「朝ランニングをしていると、あまりにも多くの野良猫やロードキル猫に会うんです。それが辛くて、ランニングを辞めました」とメンバーの1人は語る。
活動メンバーは20人。中山さんを含め、働き盛りの人たちが仕事と両立しながら地域猫活動を続けている。入会のきっかけは、猫との偶然の出会い。庭に住み着いた母猫や子猫の保護を決意した人。BBQの最中に、落ちた肉をこっそり食べに来たガリガリの猫を見て決意した人もいる。今では近所の愛され猫になった。
・河川敷の活動からつながる「ありがとう」
小さい頃から猫と暮らしてきた中山さんが、地域猫活動を決意したのは8年前。河川敷の光景に衝撃を受けた。
「歩いていくと、もう目の前の道がカラスで埋め尽くされて、真っ黒い絨毯みたいなんですよ。猫がかわいそうだと思うのか、道のあちこちに餌が置いてあり、猫もカラスも狙っていました。子猫や親猫もいて、毎年のように生まれていたようです」
せっかく生まれてきた命を大切にしたい。中山さんは地域猫活動を決意するが、餌をあげていると小学生くらいの子から心ない言葉で罵倒されたこともあった。それでも餌場の清掃や、不妊手術のために何度も足を運ぶ。
「手術をするとメス猫が発情で鳴かなくなるので、新しいオス猫が来てもあまり居着きません。すると段々と猫は減っていくんですね」
その後、河川敷の猫は8匹に減った。
「たぶん、あのときの子かな。おはようございますと言ってくれるようになりました。地域の方からも、ありがとうと温かい言葉をいただくことが増えて......。嬉しかったですね」と中山さんははにかんだ。
・10年後には共に生きる未来を目指して
「やっぱり猫たちも一緒に地球に生まれてきて、今一緒に生きている。動物と暮らす中で、猫は関わりやすい生き物だと思います。でも、外猫と家猫では生活に差がありますし、外猫の寿命は事故や病気で4〜5年と言われています」
10年後には飼い主のいない猫がゼロになり、人と猫が共生する豊かな街にしたい。メンバーは気持ちを強くして行動している。
「子どもたちにも地域猫を知ってもらって、優しい気持ちと命の大切さを覚えていってほしいなと思っています」
猫を助けることは、猫が苦手な人にも住みやすい街づくりにつながる。中山さんは、身近な地域で猫問題を解決できるよう、行政や地域とのつながりを強めたいと穏やかに語る。

いせさきねこまるのシェルターにいた白猫が1匹、足元で丸くなった。椅子から立ち上がると、別の猫が椅子に座る。すっかり人に慣れた様子は、ゆったりとくつろぐ猫のイメージそのままだ。


 

○本記事:まちおしAWARD at 伊勢崎

 

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