着物はもっと自由でいい。自分らしい着こなしに出会う「アンティーク銘仙市」

着物って特別なもの?

「着物」と聞くと、少し敷居が高いと感じる人も多いのではないでしょうか。私自身、着物といえば成人式や特別な日に着るもの、昔ながらの伝統的なものというイメージがありました。

ところが、今回訪れた「アンティーク銘仙市」で目にしたのは、そんなイメージを覆す光景でした。

フリルやレースを合わせたり、ドクロ柄やハート柄を取り入れたり。洋服のように自由で、個性的で、どこか今っぽい。会場にいる皆さんの装いは色鮮やかで、普段の洋服ではなかなか選ばないような大胆な色や柄も、着物なら不思議としっくり馴染んでいます。

「着物って、こんなに自由でいいんだ!」

そんな驚きから、今回の取材は始まりました。

いつもの街に、色とりどりの着物が集結

年2回開催されているアンティーク銘仙市。今回は華々さんの店内とガレージに加え、初めて向かいにある茂木園さんの2階も会場として使用されました。県内外から10店舗が出店し、それぞれ個性豊かな着物や小物、作品が並びました。

各ショップをいくつかご紹介。

銘仙の生地を使ったアクセサリーなどを制作する「璃華(リファ)」さん。ご姉妹で活動されており、伝統的なつまみ細工の技法を生かしたアクセサリーや箸、フレーム作品などを販売していました。繊細でかわいらしい作品は、お二人の柔らかな雰囲気にもぴったりです。妹さんは福島の専門学校に通う学生さんで、イベントに合わせて帰省して出店されたそうです。

「五月堂」さんは、桐生織のバッグや帯を中心に、伊勢崎銘仙を使った華々さんとのコラボバッグなどを販売。普段はオンラインショップを中心に活動しています。洋服にも合わせやすく、日常使いしやすいように色や柄を指定したオリジナルの桐生織を使用しているそう。伝統的な織物を、もっと気軽に取り入れられる工夫が感じられました。

そして、今回特に目を引いたのが「麻のハ堂」さん。古着の着物とオリジナルの帯などを販売しています。着物の生地と木綿の柄生地を組み合わせた帯は、結んだときに両面の柄がさまざまな場所から見える、個性的なデザイン。

「着物は柄と柄のぶつかり合い」

そんな言葉も印象的でした。異なる柄同士を大胆に組み合わせることで生まれる魅力。洋服では成し得ない、着物ならではの楽しみ方を教えてもらいました。

着物との出会いは人それぞれ。自分らしく楽しむ人たち

会場では、来場者の皆さんにもお話を伺いました。

普段から着物を着ているという男性は、全身を個性的にコーディネート。会場でもひときわ目を引く存在でした。着物の魅力に触れ、気づけばどんどんその奥深さにハマっていったそうです。

親子三代で訪れていたお母さんは、普段はなかなか着物を着る機会がないものの、こうしたイベントがあるとつい足を運んでしまうといいます。「着物が好きなんです」と、うれしそうに話してくれました。

また、若い娘さんとお母さんの親子も印象的でした。きっかけは娘さん。SNSで着物を見て、その魅力に惹かれたそうです。

実はお母さん、以前はロリータファッションが好きだったそう。しかし、年齢とともに少しずつ離れていました。そんなお母さんに娘さんがかけたのが、「着物は和のロリータだよ」という言葉。その一言にビビッときて、すっかり着物の虜になったのだとか。もともとハンドメイドをしていたというお母さん。この日の帯には、なんとパックマンの刺繍が!ご自身で施したもので、お気に入りのポイントだそうです。黒いレースを合わせた着こなしも、ロリータファッションを思わせるかわいらしさでした。

インスタグラムでイベントを知って訪れた女性は、着物歴わずか半年とは思えないほど見事な和洋ミックススタイル。スカートと着物の組み合わせがとてもかわいらしく、着こなしの自由さを感じます。もともと着物には興味があったそうですが、大病をしたことをきっかけに「好きなものを着よう」と吹っ切れたといいます。自分の好きなものを身にまとう。その楽しさが伝わってくる装いでした。

埼玉県から訪れた若い女性は、東京での展示をきっかけに銘仙を知ったそう。イチゴとレースを組み合わせた帯に、落ち着いた柄の着物を合わせたコーディネートがとても素敵でした。「最初は難しいかなぁと思ったけれど、着物は思ったよりずっと自由。アレンジもできるし、例えばおはしょりを失敗したら、こうやってエプロンで隠しちゃう。気楽です♪」そう言って、お茶目に笑う姿が印象的でした。

会場には外国人の男性の姿も。珍しいものや、昔ながらの価値あるものが好きだという彼は、銘仙という言葉を初めて聞いたそうですが、その歴史や特徴について熱心に話を聞いていました。日本人にとっては身近すぎて気づかない魅力も、海外の方の目には新鮮に映るのかもしれません。こうした出会いも、地域の伝統文化を知ってもらうきっかけになるのではないでしょうか。

来場者スナップ

着物の敷居は、思っていたよりずっと低かった

着物といえば、私の中では成人式のイメージが強くありました。朝からぎゅうぎゅうに締め付けられ、堅苦しいだけの時間だった記憶。でも、今回の銘仙市で出会った着物の世界は、まるで違っていました。

皆さん、もっとのびのびと、自由に、そして気軽に着物を楽しんでいるのです。

出店者さんも来場者の皆さんも、共通しておっしゃっていたのが「とにかく、一度触れてみてほしい」という言葉。その意味が、今回の取材を通して少し分かった気がします。

そして、すっかり魅了された私も、気づけば着物を2枚、帯を3つ購入していました。実は、昔からフリルやレース、リボンが大好きだったものの、母になり、なかなか洋服に取り入れられなくなっていました。しかし、着物とだったらまた一緒に出掛けられるかも……。着てみるのが今から楽しみです♪

せっかく伊勢崎に生まれたのだから、この素敵な伝統に触れてみてほしい。

着物を着るのに、難しい決まりや特別な準備が必要だと思っていませんか?もちろん着付けにはいろいろな方法がありますが、今回お話を聞いた方からは、着物と紐が2本あれば気軽に楽しめるという話もありました。下半身の着こなしがうまくいかなければスカートを合わせてしまったり、エプロンでアレンジしたり。自分に合った着こなしを見つければいいのです。

年齢も体型も関係ありません。いつ始めたって大丈夫。

着物の世界への入り口は、私たちが思っているよりずっと広く開かれているようです。

 

まずはちょっと「着物」検索してみてください。あなたもきっとあなたらしいキモノスタイルに出会えますよ。



取材日:2026年10月  市民ライター/Hoshimö


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