伊勢崎初 環境まちづくり推進補助金事業 地域ねこ活動の講演とパネルディスカッション開催

「伊勢崎市環境まちづくり推進補助金」初の講演会に100人

「地域ねこ活動ってなに? そしてバージョンアップ」と題した講演会とパネルディスカッションが、5月31日、メガネのイタガキ文化ホール伊勢崎で開かれ、100人を超える聴衆が集まりました。今年度からスタートした「伊勢崎市環境まちづくり推進補助金」を活用した初めての取り組みに、伊勢崎市の臂泰雄市長をはじめ、県議や市議も多く来場。行政としての関心の高さもうかがえました。



野良ねこ問題は、人問題&環境問題

企画したのは「NPO伊勢崎地域ねこじゃらし」(木村房枝理事長)。殺処分ゼロを目指す公益財団法人どうぶつ基金の協働ボランティア団体です。「田部井町一丁目地域猫」として活動をはじめ、2025年4月にNPO法人として新たなスタートを切りました。

 

同会が主催する初めての講演会の講師を務めたのは、地域猫活動アドバイザー石森信雄さん。元東京都練馬区保健所職員で、飼い主のいない猫をめぐる地域トラブル解決のために練馬区地域猫推進ボランティア制度を立ち上げた、この分野の第一人者です。

 

「猫好き、猫嫌い、どちらでもない、と立場は違っても共通するのは『野良ねこを減らすことに反対する人は稀』ということ」と石森さん。望まれない命を増やさないために大切なのが「産まれる」「集める」をしっかり防ぐことと言います。「産まれる」ことを防止するために有効なのが去勢・避妊などの不妊手術


「集める」ことを続けないために必要なのが、エサや水は同じ時刻に同じ場所であげ、置きっぱなしにしないこと


ところが、外を自由に闊歩している猫が必ずしも飼い主のいない猫とは限りません。飼い猫に無断で手術をすると「器物損壊罪」に問われる可能性があります。エサや水の置きっぱなしをやめるよう呼びかけると「猫たちが集まる時間がバラバラだから時間で引き上げることはできない」と言うエサやりさんが多いそうです。実際には他に餌場があることも多く、『猫の腹時計は正確』とも言われるため、定時・定位置でのエサやりは猫にとってさほど不都合に感じることはないようです。

野良ねこか飼い猫か、エサやりをしている人がどのくらいいるのか。猫しか把握していない行動パターンや生息状況を、人間も把握・共有することが対策の第一歩。そのカギとなるのが、地域住民同士のコミュニケーションです。

 

また仮に、猫が轢死する姿が頻繁にみられる地域があるとすれば、そこは自然と人間との調和が乱れた場所。環境面でも精神面でも「不健全さ」を表すサインのひとつです。

野良ねこ問題は、人間の問題であり、環境問題。つまり、み~~んなに関係する問題というわけですね。

 

石森さんは、野良ねこ問題を火事にたとえ「繁殖可能な猫が1~2頭いるのは、地域でボヤが起きているのと同じ状況」と話し「火事になる前に、地域住民と行政が適切な役割分担で行動を」と呼びかけました。



 


人に対する誠実さが鍵に

第二部は、石森さん、主催者である「ねこじゃらし」の理事長・木村さん、ぐんまねこパートナーズの共同代表・野口夏帆瑠さん、伊勢崎清明高校の長岡咲歩さんによるパネルディスカッション。長岡さんは「シジミ」と名づけた飼い主のいない猫とのエピソードを話し「野良ねこ問題は一人では対応しきれない、地域全体の人が知る必要がある。猫と人が共存できる住みやすい町に」と声をあげました。

 

野口さんは地域の現状を伝えながら「飼い主のいない猫対策として区長や地域の人に協力してもらっているのが有難い」と話し、木村さんは保護から譲渡までの流れを説明し「資金やボランティア不足など課題は山積している」と訴えました。

 

全国各地で講演や研修を続ける石森さんは「うまくいくかどうかの分かれ目は『人に対する誠実さ』。人との約束を大切にし、地道に活動を続ける人は、最初はうまくいかなくてもやがて仲間ができ、最終的にはうまくいく」と集まった人の背中を押してくれました。

 

猫の繁殖力は驚異的。1頭のメス猫が1年後に20頭以上、2年後に80頭以上に増えるといわれています。


地域・行政が手を取り合いながら、人も猫も住みやすい伊勢崎市を作っていきましょう。

  

取材:2025年5月31日 アイマップ/e塚

 


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