経営者の輪Vol.386 株式会社Flattower 代表取締役の宮平夏美さん
経営者の輪Vol.386 株式会社Flattower 代表取締役の宮平夏美さん
今回、お話を伺うのは、株式会社Flattower 代表取締役の宮平夏美さん。高校時代、全力で取り組んだダンスの話、今の仕事を目指すようになった理由、原動力になっているという家族との固い絆などをお話いただきました。
安全でのびのび暮らせる日本が大好きに
キラキラとした大きな瞳が魅力的な宮平さん。ご両親が仕事の関係で住んでいたペルーで生まれました。1歳で帰国しますが、ご両親のお仕事に伴い再びペルーへ。日本に戻ってきたのは、小学生2年生のときでした。お母さまはお仕事の関係で現地に残り、先に日本に戻っていたお父さまが空港まで迎えに来てくださいました。電車のチケットを買うため、お父さまに「ちょっとここで待っていて」と言われ、宮平さんは衝撃を受けます。当時のペルーでは、子どもが家の外に出る時、必ず親がしっかりと手を握って歩くのが常識。たった数分とはいえ、子どもが一人で待つなど考えられなかったのです。
小学校に通い始めると、さらなる衝撃が。子どもたちだけで登下校したり、友だちの家に遊びに行ったり。しかし、そんな日本の自由でおおらかな雰囲気がすっかり好きになりました。
ところが、良いことばかりではありませんでした。日本人でありながら、日本語が話せなかったと言う宮平さんは、通い始めた小学校でいじめに遭ってしまうのです。意地悪をしていたのは、日本語を勉強中で、宮平さんより少し日本語が話せる外国籍の子どもたちでした。それでも日本という国が大好きになっていた宮平さん。戻ってきたばかりのころはペルーに戻ることを考えていましたが、お父さまと共に日本に残ることを選択。転校し、名和小学校に通い始めました。同校の児童は日本人ばかり。みんな優しく接してくれました。ここでまた、新たな問題が発生。授業も日常会話もオール日本語だったため、日本語勉強中の宮平さんは、家に帰るとお父さまの指導のもと小学校低学年の日本語のドリルを向き合う日々が続きました。今でこそ笑顔が素敵な穏やかなお父さまですが、当時は「嫌いになるほど」それはそれは厳しかったそう。学校でも家でもどっぷりと日本語に浸った甲斐あって、日本語はどんどん上達。「本当に楽しかった」と振り返ることのできる小学校生活を送ることができました。
中学ではダンスに入部。「歴代の先輩の代から続く県大会での6連覇を果たせず、悔しい思いをしました」と肩をすくめます。中学入学当初から、志望校はずっと伊勢崎清明高校だったという宮平さん。中学3年生の夏の三者面談で、宮平さんの志望校を見た担任の先生から出た言葉は「無理。難しい」。宮平さん自身想像をしていた答えでしたが、それを聞いたとき「パパに怒られる」とギュッと目をつむりました。予想通り厳しい口調で怒り始めたお父さま。しかし、矛先は先生に向けられていたのです。「子どもが自分の希望を叶えるよう、努力させるのが教師」と。それを聞いて、自分に対するお父さまの深い愛情を感じたと話す宮平さん。もちろん帰宅後、お父さまにたっぷりと叱られたそうですが、それからは勉強に向き合う気持ちも変わって見事合格。憧れの伊勢崎清明高校に入学しました。
貪欲に学び「得意」を活かして不動産業で起業
高校でもダンスに入部。とはいえ、高校の部活は中学時代に経験したジャンルとは違ったものでした。宮平さん以外の新入生はダンス初心者でしたが、中学時代は他の部活に熱心に取り組んでいた人ばかり。常に「目標」に向かってまっしぐらで「大会に出たい、ダンスに打ち込みたい」という熱い思いを抱いていました。部員たちの熱意を受け止めた顧問の先生は、「ダンスは専門外」でしたが、ご自身のネットワークを活用し、ヒップホップ、バラード、ジャズなどのスペシャリストを招いて練習する機会を設けてくださったのです。週に6日、筋トレ、ランニング、バレエなど基本のトレーニングも含めた練習を重ねたうえで、さまざまなダンスに挑戦。確実に実力を伸ばしていきました。そして、県内最大のダンスコンテストで優秀賞を受賞するまでに成長したのです。
将来を考えたとき、日本語とスペイン語の二つの言葉を使え、双方の文化も理解できるという自分の強みを生かそうと、国際系の学科を志望。東京の有名女子大に合格しますが、いざ家族と離れた土地で生活すると考えるだけでホームシックに陥ってしまったのです。急きょ、県内の短大に進むことを選択。就職後のキャリアを磨くことのできるキャリアデザイン学科に入学しました。幼いころからお父さまに「自分で(仕事を)しなさい」と言われて育ったこともあり、ずっと起業は意識していたそう。短大でも経済学やビジネス英語などの科目を積極的に履修しました。
そんなある日、アメリカ大統領にトランプ氏が就任。トランプ氏が不動産王だったことを知り、不動産の業界に興味を持ち始めました。卒業後、独学で宅建の資格を取得した後、3年に渡って物件内容の異なる3社の不動産関連会社を経験。どの会社に入るときも起業を目指していることを伝え、貪欲にキャリアを積んでいきました。
こうして2020年に念願の起業を果たします。当時、参加する会合で女性はわずか数人。必ずと言っていいほど「誰の娘?」「あなたが代表取締役?」と聞かれたそうです。不動産で起業をする女性はそれほどまでに少なかった、というわけです。ある人には「甘い世界じゃない、地獄を見るよ」と言われたこともあったそう。
それでも、お父さまから言われた「焦らないで」という言葉を励みに自分の道を歩み続けました。
今、宮平さんは不動産、建売(中古・新築)、リフォームを柱に事業を展開中。リフォームは信頼できる仲間とタッグを組んで取り組んでいるそう。つながりを大切に「一人ひとりに合わせたソリューションを提供できることにやりがいを感じている」と話します。「得意の二カ国語を活かして言葉に困っている人の助けをしたり、常に時代の変化を取り入れたりしながら、事業を拡げていきたい」と瞳を輝かせます。
大好きな家族が宝物
宮平さんは、代表取締役のほか、もうひとつの顔があります。それがダンスのインストラクター。2019年にスクールをオープンし、毎週木曜日、キッズ部門と中高校生~大人部という二部制でレッスンをしています。「初心者でも全然OK。気軽に挑戦して、ダンスの楽しさを味わってほしい」との思いから、レッスン料は1回ワンコイン(500円)! 少しずつ仲間が増えているそうです。
公私ともに大忙しながら、ハツラツとした宮平さんの原動力は何なのでしょう⁉ それは「大好きな家族」とにこやかにほほ笑みます。宮平さんは、6人きょうだいのご長女。よくよく話をうかがうと、長い生活の中でお父さまとお母さまは別々の道を歩むことを選択。その後、それぞれのパートナーに巡り合ってお子さんたちが誕生したそう。お父さまとお母さま、それぞれのパートナーとの間に生まれた子どもたちは、戸籍上は他人同士ですが、どちらも宮平さんにとってかけがえのないごきょうだい。「双方のきょうだいたちが仲良くやっていくことが大切」と考えた宮平さんが声をかけ、みんなで集まるようになりました。今では、双方のきょうだいが相談し合ったり、普段から連絡をとりあったりしているそう。なにげない会話の中で「母方の弟が、父方の弟のことを『兄』というのを聞いて胸が熱くなり、涙がこぼれそうだった」のだとか。この話を聞いてこちらまでうるうるポロリ。うーん、心があったかくなるいいお話です!
「家族が大好き。きょうだいたちの見本であり、両親にとっていつでも誇りの娘でありたい」と瞳を輝かせます。この思いこそが、宮平さんらしさの原点であり、ぶれない心の軸となっているのです。
企業情報
株式会社Flattower
◆住所/伊勢崎市宮子町3451-3
◆TEL/080-9677-9991
◆設立/2020年
◆営業時間/9:00~18:00
◆休日/水曜
◆従業員数/2人
◆業務内容/不動産、賃貸、保険、レンタカー
取材日 2025年6月
株式会社FlattowerのHPはこちら
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
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