経営者の輪Vol.393 BAR&DINING OKASHINAのマスター 太田侑我さん

経営者の輪Vol.393 BAR&DINING OKASHINAのマスター 太田侑我さん

今回、お話を伺うのは、BAR&DINING OKASHINAのマスター 太田侑我さん。自分らしく働きたい、美しいものが好き。その思いは、高校生の頃から太田さんの中にありました。しかし若くして芽生えた違和感と独立心。挑戦をする人だけが感じる挫折と成功、そして一度は立ち止まった先で見つけた本当の答えとは…。理想の店や働き方を追い続ける太田さんに聞きました。

プロフィール

太田 侑我(おおた ゆうが)さん

伊勢崎市出身

高崎市在住

16歳で社会に違和感 独立を意識した原点

小さいころから、よくしゃべる子だったという太田さん。チャーミングな笑顔に、こちらも心が開かれていくのを感じます。取材開始前にスッと飲み物を用意してくださり、取材が始まるとさりげなくライトを手元に当ててくれるきめ細やかな心づかい。ホントは何歳なんですか⁉と問いたくなるくらい「紳士」です♪

 

そんな太田さんは、中学卒業後、工業高校に進学。学校の友人の多くは「学んだ技術をそのまま社会に生かす」ことを前提に、将来の進路を思い描いていました。しかし学校での学びを、一生の仕事にする姿が想像できなかった太田さんは、その流れにどこか違和感を覚えていました。

 

こうした中で働き方や生き方について考え始めたとき「指示を受ける側ではなく、いずれは指示を出す側に立ちたい」と思うようになったのです。16歳にして芽生えた独立志向は、すでに確かなものになっていました。

 

こうしてまずはラーメン屋さんでアルバイトを始めます。独立した未来を見据えて働き始めた太田さんは、やることやできることはものすごいスピードで増えていき、仕入れや発注などまで任されるように。休みの日は朝からオープンからクローズまでいるほどの「スーパーバイト」になっていました。

 

 

一方、高校生活は相変わらず。校則が厳しく、髪型ひとつ自由にできなかった環境で美意識が高かった太田さんは、そんな中でも一人ひとりの良さを引き立てられるヘアスタイルを実現させられたらと、美容師を目指し始めました。

 

ただ美容師はあくまでも独立をするための手段。「好き」よりも、将来を見据えた判断でもありました。こうして高校卒業後、東京の美容専門学校へ進学したのです。

 

半年を残して退学 覚悟を問われた決断

感性豊かな家庭に育った太田さんにとって、美容の世界は肌に合い、周囲からもセンスを評価されていました。

 

しかし、シビアな現実を知ることになるのです。

美容師として独立するには、店舗、設備、人件費など多大な資金が必要。

そのハードルは、想像以上に高く「このまま進んでも、独立は容易ではない」ということに気づいたのです。

 

もともと独立のために選んだ美容師の道。独立の可能性が薄れることは、夢から遠ざかること。このまま学校を続けることの意味は薄れていきました。

 

卒業まであと半年。先生からは「センスがあるのにもったいない」と、ご両親からは「もう少しなのだから」と引き止められました。

それでも「独立が絶たれるのであれば、続ける意味はない」と意思を変えるつもりはありませんでした。そこで、事業計画書を先生に提出。経営者さながらの計画書に舌を巻いた先生は「ここまで考えているのなら」と引き留めるのをやめたそうです。

 

地元・伊勢崎に戻り、ラーメン店で社員として働き始めます。高校時代「スーパーバイト」と呼ばれていたほどでしたから、仕込みも発注もお手の物。それに加え、経営の視点から店舗の運営を意識するようになりました。

 

ある日、ふとした瞬間にあることに気づきました。

「原価率の高いラーメンと、利益を生みやすい飲料。商売として見ると、ここが分かれ道だ」ということに。

 

この気づきをきっかけに、いよいよ独立を果たします。飲食に遊びの要素を加えたアミューズメントバーでした。

人が好き だから選んだ新しい答え

しかし、結果は厳しいものでした。そこで同じ場所で、ラーメン店へと業態転換。手作りチャーシューの煮汁から生まれた一杯が話題となり、店は連日満席。成功の階段を、一気に駆け上がります。

 

その裏で、太田さんの体と心は、本人の知らないうちに確実に削られていたのです。

手を抜くことのできない太田さんは、深夜まで店に立ち、店内で短い仮眠を取ったあと、朝から仕込みをするという毎日。どんなに忙しくても、このルーティーンを続けているうちに体に異変があらわれ、ついにはドクターストップがかかってしまったのです。

 

店を閉めるしかない…。成功の絶頂で、すべてが止まりました。しかし、太田さんの中にはどこかホッとした思いがありました。「これでやめられる」と。

 

休養期間を経て、現在の場所に移って心機一転。今までとは違ったスタイルのラーメン店を始めました。ところが、時代のあおりを受け上がり続ける原価と、簡単には上げられない価格設定。その矛盾にも直面します。

さらに太田さん自身が衝撃を受けたのが、従業員から言われた「ラーメンという業種が、そもそも太田には合ってないのでは?」というひと言。

考えてみれば、目の前の1杯に向き合うラーメン店で、多くの店主は、こだわりを詰め込んだ職人のような存在。しかし、自分はそうではない、ラーメンという業態が合っていなかったのだ、と気づいたのです。

 

そこで再び、業態変え、都内ではやっていた駄菓子バーをオープンさせるのです。しかし、これもまた厳しい現実が待ち受けていました。人口規模、客層、リピート率。「都内で成り立つモデルを、そのまま地方都市に持ち込むことの難しさを痛感しました」と振り返ります。

 

 

それでも太田さんは前を向き続けたのです。

「自分がしたいことは何なのか」

「何をしているときが、一番楽しいのか」自問自答を繰り返しました。

 

料理を作ることが好き。喜んでもらえるのもうれしい。

でも、それ以上に好きなのは、目の前の人と話し、かけがえのない時間を共有すること。

働いている自分が楽しく、お客さまにも喜んでもらえて、それがまた喜びにできる店。つまり喜びやうれしさが循環するようなお店ができれば、と新たな店舗の軸が固まっていきました。

 

こうして行き着いたのが、伊勢崎エリアにはまだ珍しい「オーセンティックバー」という選択。オーセンティックバーとは、一言でいうなら、落ち着いた雰囲気の中で本格的なお酒とバーテンダーの技を静かに味わう大人のバーです。

手割りの氷。美しい盛り付けのお料理。

「美しいものが好き」という太田さんの感性が、次々と花開いていきました。

 

50種類は超えるというお料理は、手頃な居酒屋メニューから手の込んだ本格的なものまで幅広く、ドリンク類も豊富。「まず一杯」から「もう一軒」まで、ここだけで過ごせるシーンを選ばないバーです。

 

目下の悩みは、洒落た外観ゆえに、「入りづらい」と思われることがあること。

「もっとお客さまに喜んでいただける空間にしたい」と、今後、カウンターを広くしたり、椅子を変えたり、ダーツを置いたりして居心地のいい空間に作り替えていくことが夢であり、楽しみなのだそうです。

 

挫折を経験したからこそ無理をせず、妥協もせず、自分らしさとお客さまの喜びを大切にしたい、という太田さん。若き経営者の挑戦は、これからも静かに、しかし確かに続いていきます。

企業情報

BAR &DINING OKASHINA おかしな

 

◆住所/伊勢崎市宮子町3092-1

◆設立/2023年

◆営業時間/18:00〜25:00 (フードL.O 24:00)

◆店休日/月曜、第3木曜

◆業務内容/飲食業

 


BAR &DINING OKASHINA おかしなのインスタグラムはこちら

 


取材日 2025年12月

 


応援します商売人!
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!

あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。

ご注意:本記事は上記の日付をもとに作成しています。実際にお店等に行く方におかれましては、事前に電話等で確認してからお出かけ下さい。記事と情報が異なる場合、imapは一切責任を負いませんのでご了承下さい。(記事と情報が異なる場合もありますので ご了承下さい。)


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