経営者の輪Vol.399 NPO法人アスワード 代表理事 山本祥一さん
経営者の輪Vol.399 NPO法人アスワード 代表理事 山本祥一さん
教員になるという夢に向かい、教員採用試験に合格した山本祥一さん。しかし、あえてその道を選びませんでした。大学時代に仲間と立ち上げた団体の活動を「終わらせたくない」とNPO法人を設立。地域の未来を見つめる山本さんの歩みを紹介します。
教員を志し、努力でつかんだ志望校
小さい頃から大の電車好きだった山本祥一さん。小学校に入る前は、近くを通る電車を毎日のように見に行くほどだったそう。小学生になると今度は「乗る」ことに夢中に。高学年になる頃には、友人と東京の動物園まで出かけたり、ただ電車に乗ることを目的に大回りしたりして「乗り鉄」を満喫していました。
そんな山本さんの人生に転機が訪れたのは中学2年生のとき。
当時の担任の先生が、生徒一人ひとりに真剣に向き合い、熱心に指導する姿に心を動かされ「自分も教員になりたい」と思うように。普通高校へ進学し、大学の教育学部へ進むという目標がはっきり決まりました。
志望校に定めたのは、伊勢崎清明高校。しかし、当時の成績は合格ラインが見えたり見えなかったりという状況でした。「このままでは受からないかもしれない」という不安が、山本さんのスイッチをONにしました。苦手科目から逃げることなく「コツコツと」勉強を続け、成績は次第に上昇。見事合格をつかみ取りました。
高校になるとまたもや変身。中学のころは考えられなかった生徒会活動に熱心に取り組み始めました。文化祭の開催頻度の見直しや校則の改正に着手。3年に1度だった文化祭を2年に1度へ変更したり、さまざまな改革に挑戦しました。「仲間たちが楽しそうに活動している姿を見ることが、何よりのやりがいだった」と振り返ります。
しかし、高校生活の終盤、世界は大きく変わります。新型コロナウイルスのパンデミックです。
高校2年生の3月から3年生の6月まで休校。予定されていた行事も次々と中止になりました。群馬で開催予定だったインターハイも取りやめに。すべての活動が突然止まってしまったのです。
当時、放送部の部長も務めていた山本さんは、インターハイの司会の最終選考に合格。準備の真っ最中でした。世の中は、スポーツに打ち込む高校生選手たちに同情が集まりましたが、大会を支える高校生たちの夢も同時にガラガラと崩されていったのです。
コロナがおさまりきらない翌年4月、小・中・高校の教員免許を取得できる、共愛学園前橋国際大学国際社会学部国際社会学科児童教育コースへ進学。先の見えない中でしたが、夢に向かって進み始めました。
コロナ禍の大学生活から生まれた「寄り添う活動」
大学に入学したものの、コロナ禍は続きました。講義は、感染状況に応じてオンラインと対面。サークル活動は停止。思い描いていた大学生活とは違う日々でした。
「何か行動したい」という気持ちが高まる中、出会ったのがサンタクロースのボランティア。サンタクロースに扮して施設や一般家庭、保育園や幼稚園を訪問し、プレゼントを届けるという愛のある活動です。「子どもたちの華やいだ笑顔を見られることがうれしかった」と話しますが、残念なことに活動できるのは1年に1度、クリスマスイブだけ。
「もっと継続的な活動はできないだろうか」という思いから、高校や大学の仲間8人と任意団体を立ち上げます。団体名は「アスワード」。「あなたのそばに寄り添う存在でありたい」という願いをこめました。
活動を続ける中で社会的な信頼の必要性を感じ、大学4年生のときにNPO法人を設立。山本さんは代表理事に就任しました。NPO設立の申請は複雑と言われますが、書類作りが好きだった山本さんは資料を読み込み、必要書類をすべて一人でそろえたそう。「高校受験に向けて『コツコツ』がここでも役に立ちました」と笑顔で話す山本さん。頭が下がります。
最初の活動は「子ども食堂」。しかし、訪れた子どもは、わずか3~4人でした。「この状態で続けられるだろうか」という不安もありましたが、仲間と励まし合いながら続けたそうです。
一方、大学ではカリキュラムに沿って、教育実習を経験。子どもたちが「わかった!」と目を輝かせる瞬間や、日々成長していく姿を目の当たりにし「やはり教員は素晴らしい仕事だ」と改めて実感。教員採用試験に臨みました。
そして大学4年生の秋。
教員採用試験の合格通知が届きました。長年の夢がかなった瞬間でした。
諦めないことでつかんだ夢
夢をつかみかけた山本さんの心は揺れていました。アスワードの活動を、このまま終わらせてしまってよいのか。
このころになると、団体には多くの場所から声がかかるようになり、年間100を超えるイベントに関わるほど大きく成長していました。伊勢崎市でも若者の活動を支援する新しい取り組みが始まり、地域の空気も変わり始めていました。
「ここで終わらせたくない。もっと若者が活躍できる伊勢崎市をつくりたい」。その思いが山本さんを突き動かします。
夢だった教員採用を辞退し、NPOの活動に力を注ぐことを決めたのです。山本さんの未来をも左右する決断に、ご両親は反対しなかったそう。
自ら決断した道ですが、現実問題は厳しく、NPOの活動だけで暮らしを成り立たせるのは難しいといいます。今は、就労支援の仕事にも携わりながら、子ども食堂、アフタースクールなどさまざまな活動を続けています。
やりがいは「目に見える変化」。若い世代の活動が少しずつ増え、それを行政が応援する。地域の中で良い循環が生まれているのを感じる瞬間が、何よりの喜びだといいます。
取材を受けてくださったのも、会議が終わった午後6時すぎ。事務所に所狭しと並べられている、子ども食堂への支援の品やイベント開催の道具は、日々の忙しさを物語っています。そんな中、息抜きは大好きなディズニーランドへ行くこと。訪れるだけで元気になれる特別な場所です。
旅行も大好き。沖縄の離島・波照間島で見た満天の星空は今でも忘れられない思い出。最近は泊まりがけの旅行が難しいものの、日帰りで京都や青森へ出かけることもあるというアクティブさです。
ディズニーランドや日帰り旅行でパワーをチャージ、仲間とのつながりを原動力に地域の未来を育てる挑戦を続ける山本さん。その歩みは、これからも伊勢崎のまちに新しい風を吹き込んでいきそうです。
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今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
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