新井　千明（あらい・ちあき）さん
1983年、伊勢崎市生まれ

　「子どものころは、内向的だったんです」
今の新井さんからは想像できないひと言から、今回の取材はスタートしました。

体が小さくて内向的。そんな新井さんを心配したご両親が通わせたのがスイミングスクール。「とても速かった」という平泳ぎでは、小学生時代、大会優勝も経験しました。そのころ、友だちに誘われて始めたのが剣道。一人で黙々と泳ぐ水泳と違い、竹刀を用いて一対一で打突し合う剣道の面白さに魅かれました。真面目に練習した成果は、試合でも発揮。強くなると名前も知られ、横のつながりが広がることにやりがいを感じるようになりました。

中学でも剣道部に所属。2年生の新人戦では県で準優勝。夏の大会では個人でベスト8にまで進むほど成長しました。
剣道の面白さは、体が大きいから勝てるわけではないところ。「相手と自分の強みと弱みを冷静に分析し、アタマを使った戦法で勝てる道が見える」と話します。「仲間と環境に恵まれ、楽しく剣道ができた」という新井さん。進学先の東京農業大学第二高等学校でも剣道部に所属しました。

ところが、高校の剣道部の厳しさは中学とは全く異なるものでした。朝は6時20分の始発電車に乗り、帰りは夜9時過ぎ。先輩と気軽に冗談を言い合えるような雰囲気ではありませんでした。
しかし、このことが逆に新井さんに剣道以外の道に目を向かせることにもなったのです。

新井さんのお父様は、1988年に株式会社タスクの前身となるタスクデザインワークスを設立。周りには、お父様を慕って集まる仕事仲間がたくさんいました。
その人たちから「大学は行っておいた方がいいよ」「建築は面白いよ」と顔を合わせるたびに声を掛けられた新井さん。建築に対する興味もわいてきて、卒業後は、工学院大学建築学部へと進学を果たしました。
「今思えば、心のずっと奥底に、いずれは父の後を継ごうという気持ちがあったんだと思います」と振り返ります。

学生時代は、建築現場でアルバイトをする傍ら、大学の友人とクラブに行ったり、飲みに出かけたり、寝ずに遊んだ時期もあったと言います。そこでたくさんの店舗に出入りしたことが、店舗設計への興味を生みました。

卒業後は、乃村工藝社と並ぶ、日本のディスプレイ業界の二大業者のひとつである丹青社の子会社に入社。当時、会社は尋常でない忙しさで新井さんも必死になって働きました。いずれはお父様の後を…、という気持ちを内に秘めながら「会社を辞めます、と言ったときに引き留められるくらいの力をつけたい」と真摯に取り組み、4年目には某大手ハンバーガーショップのプロジェクトリーダーを務めるまでになりました。

ひとつの大きな店舗をつくれるレベルに達したことをきっかけに退社。伊勢崎に戻ってタスクに入社して仕事をしながら、夜は一級建築士の資格取得のため、資格取得の学校に通い始めました。この時期に結婚。生活は一変しました。

新井さんのすごいところは、思い切りの良さと先を見据えた計画性です。学科と製図からなる一級建築士の試験は、3年がかりで計画。1年目は暗記物、2年目に計算物と製図の力試し。3年目に製図をクリアし、見事、合格率10％程度と難易度の高い一級建築士の試験に合格しました。

一般住宅や店舗などを手掛ける株式会社タスクのアドバンテージは、社長であるお父様と取締役である新井さんがタッグを組んで、設計～施工～アフターメンテナンスまで携わること。
取り引きのあるメーカーも多数あるので、世界に一つだけ、完全オリジナルの建物が作れることです。

そのご家族にぴったり合う住まいは、お施主様ご家族からも好評。今でも創設時に建てた住まいにメンテナンスを施しながら大切に住まわれるお客さまが多いそうです。長くお付き合いができるのも大きな自慢です。

また、現場も「腕の良い職人さんばかり」と新井さん。長年の経験からたくさんの引き出しを持つ職人さんたちは、困ったことがあれば相談に乗ってくれ、素晴らしい知恵を貸してくれるかけがえのない仕事仲間です。
お施主さんに「いつでも見に来て」と言えるのは、仕事に対する自信の表れ。

出来上がった建物を喜んでもらえるのは、何よりのやりがいです。

今まで紹介と口コミで広がったお客さまの輪。
これからは「ホームページなどを活用してさらに会社の魅力を伝えたい」と、抱負を話してくれました。

株式会社タスク


住所／伊勢崎市富塚町221-6
TEL／0270-32-8781
創業／1988年
業務内容／総合建築、商業建築、リフォーム、不動産など

2019年3月