経営者の輪Vol.286 snack Seaの代表「田中 聖子さん」

経営者の輪Vol.286 snack Seaの代表 田中聖子さん

今回、お話を伺うのは、Snack Sea 代表・田中聖子さん。充実した人生のためにかかせない「人間関係」の大切さや、新たな事業計画についてうかがいました。

プロフィール

田中聖子(たなか・しょうこ)さん

桐生市出身

高崎市在住





 

仕事を通じて実感した人間関係の大切さ

華奢で小柄な田中さん。一人っ子で弟か妹が欲しかったことから、保育園のころには「保育士さんになりたい」と思っていたそうです。しかし小学生になると、保育士の条件のひとつにピアノがあることを知って断念。入れ違いのように考えるようになったのが、自立だったそうです。しっかりしたお子さんです!

 

そして、高校に進学。16歳になると早速、飲食店でのアルバイトを始めました。それと同時になんと一人暮らしも始めたのだそうです。小学生の頃に思い描いていた「自立」の一歩を早くも実行に移したのです。

 

18歳になると、友達に誘われキャバクラに勤めました。桐生や伊勢崎で働きますが、特に好きになったのが伊勢崎。伊勢崎の人の明るくオープンで誰でも快く受け入れてくれる懐の深さに、田中さんは安らぎを感じるようになりました。しばらく伊勢崎で勤めた後、3余年のブランクを経て再びキャバクラで働き始めます。今度の勤め先は伊勢崎ではなく県外。今までのように友達がいるわけではなく、田中さんにとってはアウェイの環境です。しかし、ここで人間関係に悩むことになるのです。それでも「自分にできることを一生懸命やろう」と仕事に励みました。

 

ところが努力は報われませんでした。どうしたら良いのか悩む日々が続き、心はズタズタに傷ついていきました。そんなある日、「辞めよう」とスッと思えたという田中さん。系列店が伊勢崎にあったことで、再び伊勢崎に戻ることを決めたのです。

 

もともと大好きな伊勢崎で戻れることで田中さんの心は軽くなりました。そして、伊勢崎店は最高に居心地が良いお店だったのです。「スタッフは若く、みんな優しく良い子ばかりでした」とニッコリ。再び仕事が楽しいと思えるようになっていきました。

 

同じ職種なのに、一方は辛く、もう一方は最高に楽しい。この差は何? と考えたときに「人間関係の大切さをつくづく感じました」としみじみと語ります。一か所で頑張るのは素晴らしいこと、でも道は決して一つではありません。「勇気を出して別の道を選ぶことで未来が開けることがある」と強く感じたそうです。


人生の転機は、雇われママ

伊勢崎のキャバクラで、良い仲間に恵まれながら楽しく仕事をしていたある日「スナックで雇われママをやってみないか?」と声がかかります。「自分の歩みを振り返ったときに、これが一番の転機でした」と田中さん。悩むことなく「やってみたい」と思ったそうです。本当の意味で「自立」をするためのきっかけだったのです。

 

そのスナックは、新規にオープンするお店でした。お店をイチから立ち上げるのも初めてなうえ、まるごと一店舗任されるのも初めて。しかも、スナックの経験も初めてだったのです。いざ始めてみるとやることが多くてびっくりしたそうです。

 

スタッフの勤怠管理をはじめとするマネージメント、教育、商品の受発注、売上管理や営業、そして準備や片付けまで。今までオーナーやボーイさんが担当していたことがすべて田中さんの仕事になったのです。

 

「慣れない環境の中、心の中は不安でいっぱいでした」と言う田中さん。それでも「ママが不安がっていたら、スタッフはもっと心配になってしまうと」心細さを隠しながら仕事に邁進していました。

 

心掛けたのは、スタッフが楽しく働ける環境づくり。「叱ることができなくて」という心優しい田中さんの教育方針は「よいところを見つけてひたすらほめること」。ほめられて嫌な気持ちになる人はいません。自分の魅力に気づいたスタッフたちは、日に日に輝きを増し、それに比例して売り上げも伸びていきました。

 

1年ほど経った時、独り立ちをしたいと言う田中さんの思いが頭を持ち上げ始めました。それに気がついたオーナーさんは、田中さんの気持ちを尊重したばかりでなく、「(田中さんがオープンさせるお店に)行きたいスタッフは連れて行って良い」と言ってくれたのです。

 

 

今まで働いてコツコツ貯めたお金をもとに、場所探しからスタート。候補地はもちろん伊勢崎です。そんなとき、ちょうどよい物件が見つかり、計画は一気に進みました。


自分のお店をオープン、新たな展開も

お店の名前は「Sea」。田中さん自身、海が好きだったことと、名前の「聖子」の頭文字「S」が入っていることでこの名に決めました。

 

「お金を貯めたけれど、設計士さんにお願いできるゆとりはなかった」と笑う田中さん。内装のプランニングやコーディネート、カウンターの幅まで自分で決めたそうです。目指すのは、シンプルモダンなスタイリッシュな空間。白をベースにカウンターの後ろは柄の入った壁紙を選びました。おしゃれな雰囲気の中、赤いカウンターがアクセントになっています。

 

ほかにも、届け出やスタッフ募集まですべて自分でやったという田中さん。初めてのことづくしで、緊張が続く田中さんの支えになったのが、田中さんを慕って前のお店から一緒に来てくれた5人のスタッフでした。

 

Seaの立ち上げで田中さんが一番大事にしたのは、やはり「スタッフの働きやすさ」。スタッフが気持ちよく楽しく仕事ができる環境が、お客さまも楽しく過ごせることにつながっている――、経験を通じて学んだことも影響しました。

 

オーナーになって最も変わったのは「自分の采配でお金を使えること」。田中さんは「他人に気を遣えて、優しくて可愛いスタッフ」に還元できるようやりくりをしているそうです。

また、お客さまが安く飲んでもらおうと、チャージ料やドリンクを安めに設定。日本酒、焼酎、ワイン、シャンパンなどお酒を豊富に用意し、気軽に頻繁に足を運べる店舗づくりを目指しました。

 

お店は順調に滑り出し、紹介でお客さまも増えていきました。そんなときに、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、閉店を余儀なくされたのです。緊急事態宣言の解除に伴ってお店を開け、まん延防止等重点措置で再び閉め、と状況によってお店を開け閉めせざるを得ない期間が続きました。

 

コロナが始まって2年。次第に対策のポイントも心得るようになりました。今では、マドラーは一人ひとり専用のものにする、グラスはすべて塩素系の洗浄液に漬ける、こまめな換気を心掛けるなど対策を徹底しているそうです。

 

去年の7月には、高崎市内にラウンジをオープン。伊勢崎のSea同様、居心地のよいアットホームなお店です。「高崎は大手が多いせいか、スタッフ集めにも苦戦しました」と話す田中さん。高崎のお店はまん延防止~が解除されるまではクローズ、依頼があったときだけ開いているのだそうです。高崎に行く予定があれば、ぜひ声をかけたいですね!

 

「今後はほかの事業も考えたい」という田中さん。今まで、無理することなく良いタイミングでの出あいが、良い方向へ導いてくれたと振り返ります。ポジティブな意味で「『その時』を待っている」と微笑みます。大好きなマリンスポーツやゴルフで英気を養いながら、新たな展開を迎える日はそう遠くなさそうです。


企業情報

Snack Sea

◆住所/伊勢崎市日乃出町401-2

◆TEL/0270-75-4005

◆創業/2019年

◆従業員数/10人

◆営業時間/20:00~翌1:00

◆休日/日曜、月曜

◆業務内容/飲食業




 

取材日 2022年3月
 

Snack Seaはこちら
 

 

 

 

 

応援します商売人!
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!

あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。

ご注意:本記事は上記の日付をもとに作成しています。実際にお店等に行く方におかれましては、事前に電話等で確認してからお出かけ下さい。記事と情報が異なる場合、imapは一切責任を負いませんのでご了承下さい。(記事と情報が異なる場合もありますので ご了承下さい。)


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