飯村　光広（いいむら・みつひろ）さん

伊勢崎市出身

伊勢崎市在住

「小さい頃はトムソーヤみたいと言われていたんです」つぶらな瞳を細め、マスク越しにもわかる笑顔で話す飯村さん。2人兄弟の次男、くるくるの天然パーマに人懐こい笑顔の可愛らしい男の子で、ご両親や周りの人の愛情を一身に受けて「トムソーヤ」のごとく、元気いっぱいに育ちました。

お父さまは大の野球好きで、自らチームを作って監督に就任。自宅に大きなネットを張り、お兄さまに夜遅くまで野球の練習をさせていたそうです。一方、飯村さんには誘いの声がかからなかったのだとか。

というのは、飯村さんは幼少期からとても足が速く、陸上選手として活躍していたため。日曜日ともなると、野球と陸上の大会が重なることが多かったのです。お父さまは、兄弟それぞれの特性を生かそうとしたのでしょう。

当時、飯村さんが通う殖蓮中学校の陸上部には3人の強い仲間がいました。部活が終わった後は仲間たちで自主練習。お互いに高めあってそれぞれが実力を伸ばしました。その甲斐あって、伊勢崎市の大会では負けなし。3年生の時は、県の400メートル走で優勝という輝かしい実績を残しました。将来の夢は体育教師。中学2年生のときにはすでに行きたい高校を決め、日本体育大学に進んだ後、体育教師になる、と自らの将来を思い描いていました。

具体的な進路を決める時期になると、夢に描いた憧れの高校をはじめ、いくつもの強豪校から引き合いがくるようになりました。しかし、お父さまは難色を示しました。ご自分が営む電気店を飯村さんに任せたかったのでしょうか？　飯村さんは、お父さまが唯一首を縦に振った伊勢崎工業高校電気科に進学。ここでも陸上を続け、強化選手に選ばれた翌日でした。お父さまが急逝されるのです。

「それからは、フラフラでした」と飯村さん。厳しかったお父さまの存在がなくなると、張りつめていた緊張の糸が途切れて陸上にも身が入らなくなり、そのまま卒業の時を迎えました。

卒業後、同級生のご両親が営むコーキングの会社に入社。もちろん、コーキングの仕事は初めてです。接着剤を塗るのも難しく、苦労したそうです。

「この時代はよく働きました」と飯村さん。思い出深いのは「ある大型建物に携わった時のこと」と言います。天候にも左右され、計画通りに施工するのが難しいコーキングの仕事。オープンが決まっている建物となればなおさらです。ある年のお正月が明けたばかりの頃。現場監督から仕事に呼び出されます。とにかく人手を確保しようとお兄さまにまで声をかけ、早朝から夜中の3時までかけてどうにか仕上げたそうです。

３～４年後、同社を退職すると、同業者を手伝う形でコーキングの仕事を続けていました。「作業は面白くて、現場に行くのが楽しかった」と話します。仕事に精を出していると、たくさんの依頼が舞い込んでくるようになりました。しかし、当時は「独立するつもりは全くなかった」のだとか。心掛けていたのは、依頼のあった仕事を断らないこと、そして受けた仕事は誠心誠意、対応すること。先のことではなく、わき目もふらずに目の前のことに一生懸命取り組むうち、意図せずに独立・創業という道が開けていきました。

こうして、30歳で独立。その後、仕事も社員もどんどん増えていき、今では10人を超える会社になりました。

「社長業はなかなか大変」と微笑みながら話す飯村さん。

「社員には少しでも多くの給料を払いたい」「仕事は楽しいもの、という思いをしてもらいたい」と望むものの、思い通りにいかず悩むことも。またオファーに対して人員が少なく、焦る気持ちになることもあります。

「大変だけれど、今はこういう時期なのかもしれません」と、今の状況を冷静に受け止める飯村さん。「今の売り上げをキープしながらやっていけば先は見える」と言います。そして「今後は、元請けの割合を増やしていきたいですね」と希望を語ります。

プライベートでは2歳・5歳・9歳と可愛い盛りのお子さんの優しいパパ。子供たちの未来や、頼りになる社員を抱える飯村さんの未来は、社名のようにキラキラと光輝いています。

株式会社HIKARU

◆住所／伊勢崎市三和町3464-1

◆TEL：0270-61-5244

◆創業／2008年

◆営業時間／8：00～17：00

◆定休日／日曜

◆従業員数／11人

◆業務内容／コーキング・防水（FRP・ウレタン・シート・注入）外壁工事