経営者の輪Vol.330 桐生信用金庫伊勢崎東支店の支店長「増山馨介さん」

経営者の輪Vol..330 桐生信用金庫伊勢崎東支店の支店長 増山馨介さん

今回、お話を伺うのは、桐生信用金庫伊勢崎東支店で支店長を務める増山馨介さん。中学は県外へ、学生時代にはアメリカ留学、社会人になってから大学院でMBAを取得と常に高みを目指して学びを続けています。大学院時代に研究した信用金庫の必要性、支店長に就任して心掛けていることなどをお尋ねしました。

プロフィール

増山 馨介(ますやま けいすけ)さん

桐生市出身

桐生市在住


おじいさまの言葉に影響を受けて

桐生生まれの増山さん。「海外から日本を見ろ」と言っていたおじいさまに影響され、小学校を卒業すると、中学校は千葉県にある帰国子女が数多く在学する国際色豊かな学校に進みます。同校は男子校で全寮制。中学1年生で入学した時は、高校3年生の貫禄ぶりに驚いたそう。「挨拶やマナーなど厳しかったけれど、学ぶことも多かった」と振り返ります。中高一貫校のため、ここで6年間過ごす生徒が多い中、増山さんはさらに広い世界を求めて東京都内の高校へ進学。同校は、文武両道。増山さんは硬式テニス部に入り、勉強とスポーツに明け暮れました。

 

大学は、経済学部に進みます。おじいさまもお父さまも勤務先は信用金庫。その背中を見て育った増山さんですが、当時は同じ道を進もうとは思っていませんでした。大学進学を喜んでくれていたおじいさまですが、増山さんの入学を見届けた、その翌月に亡くなってしまうのです。おじいさまは、増山さんに常々「海外から日本を見ること」のほかに、もうひとつ「大学に入ったらゴルフをしろ」と話していました。

 

ゴルフは、自分に厳しく、マナーを重んじ、周りに気を使い、天候含めあるがままの状態を受け入れ技を磨く、紳士的な精神を育てるスポーツ。自己との戦い、精神鍛錬という側面を持ち合わせます。おじいさまの言葉を受け、せっかくやるならと体育会のゴルフ部に入部し、腕を磨きました。

 

大学でも「文武両道」の増山さん。大学3年生が終わるときには必要な単位を全て取得し、おじいさまが残してくださった言葉を実現しようと、4年生ではアメリカの留学を果たします。「単なる語学スクールでは嫌だった」と、アメリカのサンディエゴにあるカレッジを受験しました。

 

アメリカでは英語力を鍛えるために、ホームステイを選択します。ところが、初日にハプニングが。留学経験のあるホストマザーが、どうやらご主人には内緒でホストファミリーに名乗りを上げていたらしいのです。

スーツケースとゴルフバックを持ってドアの前に立つ増山さんを見て「これはどういうことだ!」と声を上げるホストファザー。しかし、幸いにもこのホストファザーは、大のゴルフ好きだったのです。翌朝になると早速、一緒に彼がメンバーになっているゴルフ場へ向かい、お仲間に混ざってプレーをします。アメリカのゴルフは、日本のように途中でランチを挟むことなく、18ホール一気に回るそう。そこは、体育会で腕をならした増山さん。なんとホストファザーとチームを組んでお仲間達にダントツで勝ってしまうのです。これがきっかけでホストファザーと意気投合。増山さんは、おじいさまが再三口にしていた「ゴルフ」を武器に、周囲に溶け込んでいきました。「海外で受け入れられるためには、何か認められるような『武器になるもの』を持つこととコミュニケーションが大切」と感じた瞬間でした。

 

世界各国から学生が集まる大学で、たびたび尋ねられたのが「日本の文化は?」。しかし、増山さんはそれに明確に答えることができなかったといいます。そして、日本を知らなすぎる自分と、日本ならではの「侘び」「寂び」などの奥深さに初めて気づきました。

 

1年間の留学を終えて帰国。卒業と同時に群馬県内にある別の信用金庫に入庫しました。


信用金庫は必要か? 答えを求めて研究

常に「さらに学びを深めたい」という気持ちを抱いていた増山さん。「金融」を学術的に学びたい、ほかの世界も知りたい、信用金庫の経営を体系的に学びたいとの思いから、MBAの取得を考えるようになります。

 

当時務めていた信用金庫では研修プログラムとして、入庫6年後に異動が決められていました。そのタイミングに合わせて大学院進学のための勉強をスタート。そして見事、狙い通り異動になる前に、都内の大学院に合格します。通いやすさを考え、高崎駅近くの部署への異動を希望。それがとおり、昼間は信用金庫で仕事、 5時の終礼とともに会社を出て新幹線に飛び乗り大学院へ通う大忙しの生活が始まりました。

 

大学院で所属したのは、金融機関マネジメントのゼミ。いきなり担当教授から「銀行がたくさんあるから信用金庫なんて必要ないんじゃない?」という問いを投げかけられます。「そんなはずはない!」と思うものの、明確な理由を即答できずにいました。あえて強い言葉で課題を投げかけた教授のもとで「信用金庫は何故必要なのか」を研究しました。

信用金庫で6年間の勤務をして感じていたのは、お客さまは『信金さん』ではなく『○○さん』という担当者の個人名を挙げて『○○さんにお世話になった』とおっしゃること。それだけ地域と深くつながっている証拠です。地域に根差した信用金庫は血管でいうなら「毛細血管」。体のすみずみまで行き渡り、そこで細かな情報も得てきます。また地域に根差している分、ほかに逃げ道がありません。それだけに強い責任感を持って、地域を支える存在。全てを「自分事」で考え、地域の人たちに必要とされる金融機関、それが信用金庫であると結論づけました。

「納得のゆく研究ができたことで、自分の仕事に一層自信を持つことができるようになった」と胸を張ります。


職員が「自分事」で考える職場環境を

渉外係時代、印象に残っているのは、あるパン屋さんから寄せられた融資の相談。融資をめぐり「難しい」という上司と「期待に応えたい」という増山さん。意見は交わることなく、結局は諦めざるを得ませんでした。そのパン屋さんはその後、工夫をして機械を購入できることができたそう。「本当の意味でお客さまのためにより良いことは何か? さらに踏み込んで探すことができたかもしれない」という思いにつながったそうです。

また、そのときに『信金の神様』と言われる城南信用金庫の第3代理事長、小原鐵五郎氏が残した「貸すも親切、貸さぬも親切」という言葉が深く刺さったと言います。

 

2015年、縁あって桐生信用金庫へ。「元気の良い体育会系の信用金庫」と感じたそうです。支店長代理、副長、次長を経て、今年2月、伊勢崎東支店の支店長に就任。

 

支店長になって変わったのは、判断することが増えたこと。結論を導きだすためには「仮説」を立て、「出口」を考えながら、スピーディーな対応を心掛けています。

 

職員が緊張感を持ちながら楽しく仕事をできる職場環境にも心を配っています。「お客さまのために役に立ちたい」、とお客さまの話に真摯な態度で耳を傾け、諦めないで「自分事」として取り組み、最終的にはお客さまと共に喜び合える、そんな経験を職員にはたくさん積んでほしいと考えています。

 

プライベートでは亡きお父さまの実家が造り酒屋だったことや、日本の食文化を知るところから、日本酒に興味を持ち、奥様が持っていた「利き酒師」の資格を増山さんも取得。「お酒に強いわけではない」と言いますが、蔵元のある地域や歴史を知り、味と香りを楽しみながら好みの日本酒を探しています。

 

常にいろいろなことを深く考え、さらなる高みを目指して行動し続ける増山さん。愛犬を含む家族と出かけるのが、癒しの時間になっています。


企業情報

桐生信用金庫伊勢崎東支店

 

◆住所/伊勢崎市上諏訪町2113-16

◆電話/0270-21-6555


 

 

(本部)

◆住所/太田市浜町81

◆創立/1925年

◆業務内容/金融機関業務及びその付帯業務



桐生信用金庫伊勢崎東支店の紹介はこちら

 
取材日 2023年6月



 
応援します商売人!
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!

あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。

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