経営者の輪Vol.354 株式会社ホアンの代表取締役 髙栁竜也さん

経営者の輪Vol.354 株式会社ホアンの代表取締役 髙栁竜也さん

今回、お話をうかがうのは、株式会社ホアンの代表取締役 髙栁竜也さんです。愛にあふれた大人たちとの出会いで開かれた道、独立のきっかけ、理解あるお父さまとの思い出などをお話いただきました。

プロフィール

髙栁 竜也(たかやなぎ・たつや)さん

兵庫県神戸市出身

伊勢崎市在住

手を差し伸べてくれた大人たち

アポイントメントを取るために電話をすると、聞こえてきたのは明るく爽やかな声。こちらまで元気になれそうです。どんな方なんだろうと、とても楽しみに会社に向かいました。

 

駐車場にある自動販売機の前で出迎えてくれた髙柳さんは、人懐こそうな笑顔で「何か飲みますか?」。良い方だっ! 間違いない!

 

髙柳さんのご両親は、ベトナム出身。難民として、仲間を頼って神戸にやってきました。髙栁さんは、そこで生まれたそうです。小学生になる直前、阪神淡路大震災をきっかけに伊勢崎へ。北小に入学し、2年生で広瀬小に、5年生であずま南小に転校をしました。印象に残っているのは、広瀬小時代に始めたサッカー。仲間とゴールを追うのが楽しく、中学に入ってからも熱心に続けていました。

 

ところが3年生で部活は、ほかの部員より早く自主的に引退。その理由を「遊びたくなってしまって(笑)」と髙柳さん。遊ぶといっても、そこはまだ中学生。同じように遊び好きな友達の家に集まって過ごしていました。それに伴い、学校からは足が遠のき始めました。この時、ご両親と激しくぶつかったと言う髙柳さん。特に心配していたお父さまから手を上げられ、それに対して反抗する、という日々が続きました。

 

ある時、遊び仲間のお父さまが「遊んでばかりいるなら」とご自分の工場の手伝いをするよう提案。朝、その友人の家に行き、友人のお父さまの運転する車で工場へ。昼は会社で用意してくれたお弁当を食べて夕方まで仕事、という生活が始まりました。帰宅しない日はいつも、電話をしてはご両親と連絡を取り合うように。それからは、お父さまとぶつかることはなくなりました。髙柳さんを心配しながらも信じて見守ってくださったお父さま。「その大きさに、当時は気づかなかった」と苦笑します。

 

初めてもらったお給料は「中学生だったし、今思えばわずかな額だったと思います」と振り返ります。「ファミレスに行ってみんなで飲み食いし、携帯電話を買ったら一日でなくなってしまった」とか。会社からは「(次のお給料は)1ヵ月後だね」と言われ、しょんぼりしてしまったそう。なんとも可愛らしいですね。

 

中学卒業後、1年ほど勤めた後、足場を扱う会社に転職。ここで、先輩社員から言葉の使い方、お客さまとの接し方など社会人のいろはを厳しく叩き込まれました。「前の日いくら遊んでも良い。ただそれが理由で翌朝遅刻をする、仕事に身が入らないなどと言うのは通用しない」と、厳しくも愛のある接し方で教えてくれたそうです。

 

それから1年半ほど、さまざまなあるバイトをしている中で声をかけてくれたのが、本コーナーのVol.290 でご紹介した、株式会社菊池板金の代表取締役、菊池一行さん。やってみようかな、と言う軽い気持ちで菊池さんの元に通い始めました。

面倒見のよい兄貴分

菊池さんの経営する「菊池板金」は、住宅や大型店舗や工場などの板金をする会社です。社長の菊池さんはとっても面倒見の良い兄貴分。ここでも厳しいながらも、きちんと仕事を教えてもらい、できることがどんどんと増えていきました。

 

「それでも時々は遊びたい病にかかってしまった」と言う髙柳さん。その気持ちが勝って「もっと遊びたいので辞めます」と言うと、菊池さんは止めるのではなく「そうだよなぁ。遊びたいよね」と気持ちをわかってくれ、髙栁さんの思うように泳がしてくれたそうです。辞めたはずなのに、その直後から「忙しいのでちょっと手伝って」とヘルプコール。髙柳さんも「お役に立てれば」と手伝いに。そうこうしているうちに再び入社。このように辞める~戻るをなんども繰り返したそうです。

 

25歳位になると、今度は「独立したい病」が芽生えます。独立後の厳しさを嫌と言うほどを知っている菊池さん。そのときばかりは、すぐに頷くことはなく「そんなに甘いものではない」と諭されました。それでも髙栁さんの固い意志を知ると「30歳まで」と期限を設けてくれたそう。およそ10年間、菊池板金でお世話になり、独立を果たしました。

予想と違った独立だったが…

社名の「ホアン」とは、髙柳さんの出生名。ご両親の最初のプレゼントである大切な名前を、会社にもつけました。

 

そもそも髙柳さんが独立したかったのは「もっと自由がほしい」と思ったから。社長になれば、時間もお金も自分でコントロールでき、経済的にも精神的にも余裕がうまれる、そんな風に思っていたそうです。独立してしばらくは、菊池板金の下請け。早くも「自分が抱いていた理想とは違う」と感じ始めました。

 

仕事が思ったように入ってこない。お金の心配をしなければならない。経済的にも精神的にも大変…。できることなら、また菊池さんのところに戻りたい、とまで思ったそう。それでも知り合いの紹介で少しずつ仕事が入ってくるようになると、従業員も増えていきました。こうなると従業員とその家族のためにも頑張るしかない、とできることは何でもやろうという気構えで仕事に向かうようになりました。

 

モットーは、楽しい雰囲気で仕事をすること。仕事に追われるとどうしても気持ちがギスギスしがちですが、そんなときは大きく深呼吸。仕事ができる喜び、仲間と一緒に頑張れるうれしさを感じながら良い気持ちで仕事に望みたいと考えています。

 

 

髙栁さんのウィークポイントは、泊まりがけでの仕事が苦手なこと。「ホームシックになっちゃうんで」、とウソかホントか判断がつきかねますが、八の字の眉を見るとホントなのでしょう。「自宅から通える範囲の仕事が理想ですね」と笑いながら話します。

 

大好きなお家では、中学生のお子さんを持つパパ。自分が父になった今、お父さまのことを考えると「すごい人だったなぁと思います」と話します。髙栁さんを信じて、ちょうどよい距離を保ちながら見守り、寄り添ってくれたお父さま。そのお父さまは髙栁さんが20歳の頃、46歳で他界されました。長い闘病生活の間、できる限り顔を出し、その日にあったことなどを話したといいます。日々のできごとを報告し合う、中学生の頃のルーティーンがここでも繰り返されました。あのころのように、髙栁さんの毎日を聞いてお父さまは安心したのではないでしょうか。

 

振り返ってみると、常に理解と愛のある大人たちに囲まれていた髙栁さん。「人とのつながりに感謝しています」と言います。「これからも、人とのつながりを大切にしていきたい」とチャーミングな笑顔で話してくれました。

企業情報

株式会社ホアン


◆住所/伊勢崎市東本町104‐12

◆創業/2017年4月

◆営業時間/8:00~17:00

◆休/日曜

◆従業員数/6人

◆事業内容/板金工事、屋根工事、外壁工事

 
 
 
取材日 2024年4月

応援します商売人!
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!

あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。

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