経営者の輪Vol.103 「有限会社志村塗装工業 志村和彦さん」伊勢崎市三室町

Vol.103 有限会社志村塗装工 志村和彦さんの巻

「経営者の輪」103回目にお迎えするのは、群馬伊勢崎商工会青年部に所属する有限会社志村塗装工業の社長・志村和彦さんです。

プロフィール

志村 和彦(しむら かずひこ)さん。昭和43年1月21日。

伊勢崎市東本町出身 市内上諏訪町在住。

志村和彦さんは、市内三室町で業務用空調機器、家電部品、自動車部品等への塗装・組立を行う有限会社志村塗装工業の2代目です。バブル崩壊後、最も会社の状態が悪いときに社長に就任。前社長であるお父さまから「(会社を)続けようか、どうしようか」という言葉も出たほど行き詰っていた状況から、今では右肩上がりの成長を遂げる企業へと発展を遂げた志村さんにその要因をたずねてみました。

タイムカプセルに残っている跡継ぎ宣言

洒落たスーツをビシッと着こなす志村和彦さん。その志村さんが社長を務める有限会社志村塗装工業は、志村さんのお父さまが昭和38年に創業した会社です。自宅と会社は離れた場所にありましたが、小さいころから会社に連れてきてもらっていたせいか、仕事も会社も知らず知らずのうちに自分自身になじんでいたようです。

跡継ぎを意識し始めた時期は「定かではない」というものの、小学校の卒業時にみんなで作ったタイムカプセルの中に「会社を継ぐ」と吹き込んだテープが残っているそうですから、早い時期から考えは決まっていたようです。

人材マネジメントで十二指腸潰瘍に!

小学生のときには、すでに将来を決め、工業高校に進んだ志村さんですが、就職先を決めるときには少なからず反抗心が芽生えたとか。

「敷かれたレールに乗るのは…」と思い、自分で見つけた地元企業への就職を希望しますが、ご両親は当然、反対。お父さまの知り合いで同社の取引先でもあった当時で社員数500人以上の一部上場企業への就職を決めました。

塗装の勉強をするという名目で就職したものの、実際に付いた業務は、レンジや炊飯器などの組み立て修理。それでも、初めて触れる「社会」は充実していた、と話します。少々風向きが変わってきたのは、人材のマネジメントを任されてから。

「何人かのパートさんのまとめ役を任されたのですが、思った以上にきつくて」と志村さん。ただでさえ百戦錬磨のツワモノたち(失礼!)をマネジメントするのは、骨が折れるもの。それを当時、社会人2年生の19歳だった志村さんが一人で切り盛りするのですから、手腕を買われたとはいえ気苦労は多かったはずです。

「人を任されるという責任が知らず知らずのうちに、重圧になっていたんでしょうね」と当時を振り返る志村さん。体に異変を感じたときには十二指腸潰瘍になっており、即入院の事態だったとか。しかし、そのときの「人を動かす」経験は、今になっておおいに役立っていると言います。

その後、入社前に決めていた2年という期間が過ぎたところで退社。いよいよ志村塗装工業に入社することになりました。

大きかった周りの助け

入社後、志村さんが携わったのは現場での塗装作業。小さいころから見慣れていたせいか、違和感なく仕事に溶け込めたそうです。塗装を施すのは、業務用空調機器、家電部品、自動車部品等。小さいものは手のひらに乗るくらい。大きなものになると、縦1800ミリ、横2000ミリにもなるそうです。同じものに同じ塗装を施すのでも、塗料とうすめ液のバランスは気候に合わせて変えなければなりません。同じ希釈度だと、夏はパサパサに、冬は垂れてしまうのだそうです。その見極めの尺度は「経験」と志村さん。現場を知ることが大切、と8年間、現場での作業経験を積んだ志村さんですら、今でも塗装は難しいと感じるそうです。塗装という技術の奥深さを感じます。

11年前、創業者であるお父さまの他界に伴い、志村さんは社長に就任。その数年前からお父さまに代わって社長業をしていたという志村さんですが、当時、会社の状態は非常に厳しく、お父さまの口からも「事業を続けるかどうか?」という言葉が出たほどだったと言います。

「あの頃は無我夢中でした」と話す志村さん。その大変な時期を切り抜け、今では社員数60人、業績は「過去5年間は右肩上がり」という企業へと成長しました。

その要因を伺うと「運が良かったんです」とさらり。「でも」と続けて「いろいろな人にたくさん助けていただきました。今でも頭があがりません」と話します。手を差し伸べてくれた多くの人たちに感謝の気持ちを表すように、志村さんは少しずつ着実にチャレンジを重ねてきました。近年ではISO9001を取得。今は後、環境のISO1400を承認取得に向け活動中です。  

仲間の存在が励みに

同社の強みは、金属製品へのあらゆる塗装ができること、量産が可能なこと、小ロットにも対応していること、そして短納期。取引先の業種は、多岐に及び、それも仕事の面白みにつながっていると言います。

「一番のやりがいは、月並みですがお客さまに喜んでいただけること」と志村さん。また「社員がいなければ会社は成り立たない」と、社員を大切にすることを常に心がけています。

前社長であるお父さま亡きあと、志村さんの相談相手は、自分と同じ2代目社長の仲間たち。良きライバルであり、頼りになるアドバイザーであり、何でも話せる気のおけない友だち、そんな仲間の存在が志村さんの中ではとても大きい、と話します。

目標は「多くの人に愛される会社になること」。そのための努力は厭わない志村さんです。

力強い伊勢崎に!

「伊勢崎は好きですね。出たいと思わない」と志村さん。生まれも育ちも伊勢崎、という生粋の伊勢崎っ子にふさわしい言葉です。

うれしいのは、合併によりそれぞれの商工会青年部の距離がぐっと縮まったこと。

「パワーのある若手が多いですからね。これからどんどん力強い街になっていくと思いますよ」となんとも頼もしいお話! これからの伊勢崎がますます楽しみになってきました。

会社情報

有限会社志村塗装工業

◆住所:群馬県伊勢崎市三室町4040
◆TEL:0270-62-8111


取材日 平成21年2月

応援します商売人!
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!

あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。

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