経営者の輪Vol.131 「剛工務店 生形剛さん」伊勢崎市下植木町

Vol.131 剛工務店 生形剛さんの巻

今回「経営者の輪」にご登場いただくのは、伊勢崎商工会議所青年部に所属する剛工務店の生形剛さんです。

プロフィール

生形 剛(うぶかた ごう)さん。昭和52年6月29日生まれ。

伊勢崎市平和町出身、伊勢崎市在住。

前回ご登場の佐藤さんとは、幼稚園~中学まで同級生で、今でも仲良しという生形さんは、技能五輪と技能グランプリで共に全国2位という素晴らしい成績の持ち主です。プロ野球選手を目指していた頃の話や、現職までの経緯と仕事のやりがいなどについて聞きました。

負けず嫌いで努力家。野球でないなら、と日本一を目指して挑んだものは…

「取材を受けるというので、ざっと用意はしてみたんですが」と生形さん。取材を前に、一枚の紙を広げました。そこには、なにやら丁寧な文字でびっしりと書かれています。聞けば、今までの経営者の輪を読み、聞かれる項目を想定して答えを書いておいたのだとか。準備のよさにすっかり感激していると「仕事で準備が大事ということを教えられてきたから、事前に段どりをしておかないと落ち着かないんですよ」と照れくさそうな笑顔でこう話します。

前置きが長くなりましたが、生形さんは「祖父も父も伯父も、みんな大工」という大工一家の二男として誕生しました。小さいころから負けず嫌いで努力家。小学校2年生から始めた野球に夢中になり「夜は『もう遅いからやめなさい』と母に止められるまでバットを振っていた」ほどだった、と当時を振り返ります。小学校6年生のときは、県大会で春夏連覇。夏の大会では最優秀選手に選ばれました。また、同じく小学校6年生のときに市の競技会のソフトボール投げで76mを記録。これは今でも破られていないそうです。

中学に進んだ生形さんは、小学校時代の監督の勧めで、中学の野球部ではなく、硬式野球をやる「前橋リトルシニアリーグ」に所属します。このときの生形さんの夢は「プロ野球選手」。3年生のときに、北関東リーグ大会で優勝し、首位打者賞を受賞しました。全国大会にも出場。そこで、あのPL学園のスカウトから声をかけられますが「群馬で甲子園を目指したい」と断って、前橋工業高校に進学しました。3年生の春、念願だった甲子園に出場。この年は、年明けに阪神淡路大震災、大会直前に地下鉄サリン事件などが立て続けにおき、オウム事件に世間の耳目が集中した中での開幕でした。開会式直後の第一試合、高知高校と対戦。キャッチャーだった生形さんは、始球式のボールを受けるという大役も果たしました。試合は、1点差で競り勝ち、2回戦へ。そこでも育英高校相手に9回裏で逆転、準々決勝までコマを進めました。

「高校に入ってからは、自分より実力があるやつがいっぱいいることに気づき、プロへの道は難しいと思った」と生形さん。甲子園出場を果たし、プロが無理なら何かで日本一になろうと考えたそうです。そして「兄弟3人のうち、今まで一番世話になっているのは自分」と思い、跡を継ぐ決意を固めました。

技能五輪、技能グランプリで全国2位に輝く!

高校卒業後、お父さまが経営する「ウブカタホーム」に入社した生形さん。口数の少ない職人気質のお父さまは、特に何もおっしゃらなかったそうです。現場で仕事を教えてくれたのは兄弟子。「かえって甘えることなくできてよかった」と話します。

21歳のときに、技能五輪に、群馬代表として出場。日本一を目指すチャンスが訪れますが、全国2位。「次は何が何でも日本一」と望んだ技能グランプリでも全国2位! しかし、一緒に出場したライバルたちが「オレだったら生形さんの作品を選ぶな」といわれたことで気持ちが落ち着いたといいます。

日本一になるには日本一の努力をしなければ日本一になってはならない、と考えていたという生形さん。道具の研究、刃物研ぎ、課題練習など大会前は、仕事を終えてから夜1時くらいまで、毎日取り組んでいたそうです。また、大会前に指導をしてくれた「ぐんまの名工たち」からは、心技体の大切さを学び、今でも生形さんの基本となっているそうです。

「自分で(会社を)始めないといけない」と考えた生形さんは、平成19年に「剛工務店」を立ち上げました。同社の特徴は、予算、設計、見積もりの相談から墨つけ、刻みなどの造作、管理、引き渡しに至るまで、すべて生形さんが携わります。一番の喜びは「お客さまの笑顔」。今日も、お客さまの笑顔を求めて心技体の精神で対応をする生形さんです。

若い世代にペイフォワード

今では、建築組合からの依頼で技能講師も務める生形さん。「今まで自分が教えてもらったことを、今度は自分が後輩に」との思いで、心技体の大切さを後輩たちに教えていきたいと話してくれました。

伊勢崎生まれの伊勢崎育ち。どこへ行っても知り合いがいて、その顔を見ると落ち着くという生形さん。「今回の大震災で、全国の多くの人が、人を思いやる気持ちで行動を起こした。このように相手の立場になり、思いやる気持ちで動けば、良い仲間が集まる街になるのでは?」と力づよく話してくれました。

会社情報

剛工務店

◆住所:群馬県伊勢崎市下植木町545-3
◆TEL:0270-20-5255
◆定休日:日曜日
◆設立:2007年
◆業務内容:一般住宅(新築・リフォーム)、店舗、数寄屋風、神社・仏閣など

取材日 平成23年6月

応援します商売人!
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!

あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。

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